小学館の幼児教室ドラキッズ

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幼児教育

2020年08月29日

家庭生活でも意識してみよう!幼児期の「10の姿」

現在、幼稚園や保育園、こども園では、幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」を指針とした集団生活・幼児教育が行われています。これは、小学校入学までの幼児期に養っておきたいことを10項目として具体的に掲げており、各園共通の方向性として注目されています。ご家庭での日常の暮らしのなかにも「10の姿」を育てるきっかけはたくさんあります。

後半は、「10の姿」のうちほんの一例ですが、ご家庭でも取り組める「こんなことができるようになっていればいいな」といった項目をご紹介します。親子で楽しみながら育んでみましょう。

幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」とは

2018年4月、文部科学省の「幼稚園教育要領」、厚生労働省の「保育所保育指針」、内閣府の「幼保連携型認定こども園 教育・保育要領」が改定されました。その際、幼稚園・保育園・こども園に共通する指針として示されたのが、幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」です。

基本的な知識や技能を習得し、思考力や判断力、表現力の基礎を身につけて学びに向かう力や人間力を育てていこう、という指針のもと、幼稚園や保育園などの集団生活は行われることになりました。つまりこれからの未来に必要とされる力を育てる方向性を国が具体的に示したこととなります。



幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿

●健康な心と体
●自立心
●協同性
●道徳性・規範意識の芽生え
●社会生活との関わり
●思考力の芽生え
●自然との関わり・生命尊重
●数量や図形、文字等への関心・感覚
●言葉による伝え合い
●豊かな感性と表現


とはいっても、これら10項目はあくまでこのように育ってほしいという方向性で、幼児期にすべて達成しなくてはいけない、というゴールではないのです。子どもたちが同世代のお友だちや先生とのあそびの中でお話をしたり、何かを作ったりしながら、自然にこれらが磨かれていけば良い、と考えられています。

なぜ、今、「10の姿」が大事?

2020年の今、AI(人工知能)の普及やグローバル化、また、昨今の新型コロナウィルスの感染拡大の中、働き方や暮らし方が多様化し、私たち親世代が子どもだった時代には想像もできなかったようなことが現実になってきました。子どもたちが大人になる頃には、AIが更に普及し、多様な価値観の人と交流する機会もますます増えることとなるはずです。

このように社会が変化する中、この時代を生き、成長していく子どもたちに必要な「人間力」は、幼児期から土台を作ることが大事ではないか、となってきたのです。

また、現代日本の育児環境は、核家族の増加や地域交流の減少、生活スタイルの多様化などを要因に更に変化しています。少し前の日本では、子どもたちが家族や地域の人々とふれあい協働する機会がありました。それを通じてよく生きるために必要な非認知的な力を学んで成長したものですが、今ではそのような機会が少なくなっています。けれども、少子高齢化社会や環境問題は昔以上に大きな課題であり、今後さらに向き合う必要が出てくるでしょう。

今までの常識を越えた社会はすでに始まっていて、自分の力で人生を切り拓いていく力やみんなで知恵を出し合い、共に協力しあって解決していく力が求められています。このような時代の流れや環境の変化を受け、幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」が示されることになったのです。

小学校との連携をめざして

「10の姿」が提示される前から、幼児教育の現場では、<健康><人間関係><環境><言葉><表現>の5つの領域が設定され、健康な心と体を育むことや他者との関わりの中で生活の決まりを学ぶ、とされていました。
小学校での生活を見据え、この5つの領域をさらに細かくしたのが今回の「10の姿」です。

小学校に入学した子どもたちがスムーズに新しい生活になじむため、幼児教育の時点で学びに向かう力を育てるようにしました。
たとえば、興味のあることは積極的に探求し、疑問を解決しようとする子どもがいたら、幼稚園や保育園などの先生はできるだけ安全を確保したうえで見守ります。必要な時にだけヒントを与えサポートをするのです。そうすることで子どもが自由に遊びや生活の中で、発見したり、疑問を解決したりし、知識が深まる楽しさを実感できるのです。

「10の姿」は、小学校生活においても続けて大切なこととして位置づけられています。
子どもがそれらを幼児期に自然に身につけると、小学校以降の勉強でも自分から興味を持って進んで学びに向かっていき、健やかに生活が送れるようになっていきます。

家庭生活でも意識してみよう!幼児期の「10の姿」

幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」とは、あくまでも幼稚園や保育園などで保育を行う方向性を示した考え方でありますが、家庭でも育児のあり方を考える上で参考になり、「10の姿」を育てるきっかけはたくさんあります。

以下で、「こんなことができるようになっていればいいな」といった項目のヒントを数例ご紹介します。家庭でも取り組めるので親子で楽しみながら育んでみましょう。

好き嫌いせずに食べる<健康な心と体>

毎日の食事は健康な心と体を養う基本となります。おいしいものを食べることで食べものへの興味も芽生えます。季節の食材をいただいて四季の恵みを知り、作物を育てる人たちへの感謝の気持ちも育まれることでしょう。

自分でお出かけ前の準備をする<自立心>

家族での外出の際、お出かけの準備や帰宅後のお片付けを子どもといっしょにやってみませんか。自分のものを自分で準備し、使った後は自分で片づけることで自立心を育むきっかけになります。

お手伝いをする<協働性>

食事の準備やお掃除などいっしょにやってみましょう。親から感謝の言葉をかけられ、家族という小さな社会の中で協同することを知ります。家族の役に立ったという大きな自信も生まれます。

お菓子を分けて配る<数量や図形、文字等への関心・感覚>

お菓子を人数分、同じ数だけ取り分けてもらったり、お皿の数を数えてもらったりすることで数への興味が芽生えます。また、散歩中に自分の名前のひらがなが書いてある看板を探すのも楽しいですね。文字への関心が高まることでしょう。

絵本を読んで、感想を言う<言葉による伝え合い>

親子で絵本の読み聞かせをして、登場人物についてお話をするのもいいですね。自分の気持ちを表現する力や人の気持ちを想像する力を養います。

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この記事のまとめ

「10の姿」とは、幼児教育の現場で育むことをめざした指針で、これからの時代を生きる子どもたちにとって必要な力を示しています。小学校に入る前に「10の姿」を全部達成しないといけない、という課題ではなくあくまでも、小学校以降も続く必要な力として幼児期から育てていこうとするものです。
親は、子どもを見守る姿勢を心がけて、子どもが主体的にいろいろなことに関わることができるようにサポートしてあげてくださいね。日常の暮らしの中で育める「10の姿」は、今回ご紹介したもの以外でもたくさんあります。難しく考えることはなく、子育てのヒントとして心に置きながら親子でスキンシップやコミュニケーションを取って、日常を過ごして欲しいと思います。

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