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2020年03月19日
今、IT化やグローバル化などさまざまな社会の変化の流れの中で、子どもをどうやって育てるかの考え方が、次第に変わりつつあります。
「アクティブ・ラーニング」最近この言葉をよく耳にする、と言う保護者の方は多いのではないでしょうか?「子どもたちに主体的に学ぶ力を身につけてもらおう」という昨今の学校教育改革の流れのなかで、アクティブ・ラーニングは大事なキーワードとなっています。
アクティブ・ラーニングとは、参加型の授業の中で他者の意見にも耳を傾けながら、子どもたち自らが進んで学べるような学習方法のことを言いますが、これだけでは、
・具体的にはどういう風に学ぶの?
・なぜ大事なの?
・これまでの学び方とはどう変わるの?
・それって何歳からやったらいいの?
と疑問がいくつか出てくるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「アクティブ・ラーニング」での学び方について、その必要性やこれまでの学び方との違い、海外での事例も踏まえつつ解説していきます。
椅子に座り、黒板の前に立つ先生の話をじっと聞いているだけの授業は、退屈でなかなか頭にも入ってこないといった記憶はありませんか?
反対に、興味のあることを自分で調べたり、友だちと一生懸命熱中して何かを作り上げたり成し遂げたりした記憶は、大人になった今もよく覚えている、ということはよくあります。
このような体験型・参加型の学習方法(=アクティブ・ラーニング)の良さは、学校教育においても、知識の詰め込みに偏る教育に対する批判の中で注目されてきており、2020年度の新しい学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」として言及されています。
先生からの一方的に教え込む授業ではなく、子どもたち自らが進んで楽しく学べるような視点を持って学習環境を用意していく旨が書かれています(※1)。
参加型の授業で、自分の意見を伝えたり、時には反論したりすることは、自分はここで発言してもいいんだという「自己肯定感」がなければできません。
アクティブ・ラーニングを進めていくと、自分で考えようとする力だけでなく、発言することで自己肯定感も身についていくのです。
さて、アクティブ・ラーニングの考え方はもうすでにたくさんの小学校でも取り入れられていますが、実際に子どもたちはどのように学んでいるのでしょうか。
机上だけではない学びは、子どもたちにとって大切なことです。わからないことを自分で調べたり、実際に体験・実験してみたりすると興味・関心も湧きやすく、「学ぶって楽しい」「もっと知りたい・やってみたい」と学ぶことへのモチベーションアップにも繋がります。
例えば、小学校の理科の時間。
植物の体のつくりを学ぶ時、教科書の写真で確認するだけでなく、実際に花を自分で探し、触って確認するほうが、理解も進みますし記憶にも残りやすいですね。
アクティブ・ラーニングでは、日常的にこのような活動の時間も一緒に設けられます。
1対1での意見交換、グループディスカッション、ディベート、グループ・ワークなど、一人ではなく他の人との「学び合い・教え合い」もアクティブ・ラーニングでの学び方です。新学習指導要領ではこれを「対話的な学び」と表現されています。
子どもたち同士で学び合うことで、より深く学べ、新しい気づきを得られる利点があります。
「問題解決型学習」と言って、ある問題や課題に対してのアイデアや解決法を出したり、それを検証したりする方法も、アクティブ・ラーニングの一種です。
特に小学校の算数では問題解決型の学習方法が進められており、問題の解き方を先生から教わるのではなく、子どもたち自身で解き方を考え・導き出せるような方法が広がりつつあります。
小学校や中学校の「総合的な学習の時間」でもよく行われる学び方です。
このように、アクティブ・ラーニングの考え方には、子どもたちが進んで楽しく学べるような工夫がたくさんあります。
子どもたちの「楽しい!」「もっと知りたい!やってみたい!」を引き出せる学び方に、保護者としてもなんだかワクワクしませんか?
アクティブ・ラーニングの考え方は小学校以上のお話、と思いがちですが、本当は幼児の保護者の方も今から意識しておくと良い視点でもあります。
なぜなら、どちらも「子どもたちが自ら進んでやっている」という点で、幼い子が遊びの中から学んでいることとアクティブ・ラーニングでの学びは、よく似ているからです。
学びの本質は、子どもたちが自ら学んでいくことにあると言えるかもしれません。
これまでの学び方との違い
では、アクティブ・ラーニングはこれまでの学び方とどんな違いがあるのでしょうか?
これまでは、知識をたくさん持っている人が優秀とされてきました。
実際、大学入試などの試験問題では、「答えがあっているかどうか」が問われてきたため、学校ではいかに多くの知識を効率的に教えるのかに焦点が当たってきた背景があります。
しかし、現代の情報化社会では、変化のスピードが速く、得た知識は次々と古いものになっていきます。
未来の予測がつきにくい時代になっていることは確かです。
そんな中では、知識を使って「予測できない変化に対応できる力」がとても大切なのです。
「これまでとは違う学びの力」を子どもたちが身につけて生きていく時代になってきていると言えます。
時代に合わせた別の力が大切になるとすれば、当然学び方も変わるはずです。
だから、知識を詰め込むだけでなく、子どもたちが進んで楽しく学び、考える力や課題を解決する力をつけられるアクティブ・ラーニングに注目が集まっているというわけです。
これからの学び方 | これまでの学び方 | |
授業のスタイル | アクティブ・ラーニングの考え方を重視し、参加型の授業を推奨 | 講義型の授業が定番 |
問われる能力 | 知識を使って問題を解決する能力(記述式問題も多い) | 知識の量や素早く問題を解く能力(一問一答が多い) |
また、この流れは、日本だけのものではありません。
諸外国においても、変化の速い社会に対応するため、教育の形が変わりつつあります。
海外でもアクティブ・ラーニングを重視している国は多くあります。いくつか事例を紹介しましょう。
アクティブ・ラーニングの概念の発祥地アメリカでは、グループでの意見交換など、子どもたちが興味を持って進んで学べるような学習方法が日常的に行われています。
学習は、基本的に3〜4人のグループで行われ、学び合い・教え合いがしやすいように、円形の机やホワイトボード、自由に調べ学習ができるように1人1台のPCなどが用意されています。
フランスでもアクティブ・ラーニングは盛んです。中高生のディベートでは「戦争」などの難しいテーマに対して、深い議論が飛び交います。
本質的な意見など、能動的に学習していなければ出てこないような考えが出てくるまでにアクティブ・ラーニングが深化できている様子がみられます。
子どもの興味や関心に沿った教育が文化として根付いている教育大国フィンランドでは、先生は子どもたちの学びをサポートする役割に徹します。
最近はフィンランドもさらなる教育改革が行われ、学校での授業は基本的にグループ学習で行うようになり、よりアクティブ・ラーニングを進める体制が整ってきています。
参考文献